第7日目

 スペインからポルトガルへ移動するので、書き忘れたことを追記しておこう。

 美術館や教会や王宮を見物した。それぞれに撮影についての規制がある。ビデオに付いては概ね規制は無かったが、写真は寫しても良いがフラッシュはダメと云う処が殆どであった。有名な絵画などが沢山あって、もちろん写真やレプリカは販売されているが、自分のフイルムに収めてくるのも楽しみの一つ?

 此の時の為に是非とも高感度フイルムの持参を提案する。ただ空港での荷物検査に感応してしまう懸念があるので、手持ちで係員に渡すか、(係員に渡したらお構いなしに検査機に通されて心配顔の人を見た)鉛袋の用意をすると良いようだ。

 男子用小便便器の高さが実に高い。スペイン人君それ程背が高くないのに、どうして便器の高さが高いのかな?便所に入って一瞬アレッと思う。少しの余裕は有るが爽快ではない。自尊心が傷つく。駅でもホテルでも何処でも、子供用を見たことがない。子供はどうして居るんだ!

 トイレには便器とビデがある。西洋人は紙を使わないんだ!水で洗うんだ!と友人に聞いて居たが、現実に直面すると紙で拭かずにいきなり手で洗うことなどとても出来ない。

 紙を使わないなんて本当の話か?日常ウオッシュレットを使うことに馴れているから、幾ら紙で拭いた後とは言え、手でお尻を洗うのは馴れないと巧く行かない。でも直ぐに馴れる。食事の手掴みには少し抵抗が有る。

 商店での計算が実に遅い。引き算かけ算わり算が実に苦手?出来ないのでは?レジスターに頼ればよいが、店員各自にレジスターと言う訳にも行かぬので、暗算に頼る。幾点もの買い物をするとお手上げなので、一点ずつ清算。

 こういう学力格差の多い國ほど所得格差を生みやすい。富の再分配は規制を加えなければ知識能力に委ねられるからだ!これは国際間でも云える。国民の知識学力の総量に委ねられるからだ。日本の若者達よ!現状に甘んじ惰眠を貪っていると為替レートが下がって仕舞うぞ!

 パーセンテージは忘れたが、文盲率と言う言葉をヨーロッパに来て聞いてしまった。表音文字では犬猫で無い限り讀めると思って居たが、文盲が居るとは驚いた。四則計算は小学生の孫でも出来るのに、紅を付けた子が出来ないとは驚いた。一体あの頭には何が詰まって居るんだ。

 羊飼いの話は聞いたことがある。先ず土地は肥沃な順に稲作・野菜・果菜・根菜・果樹・向日葵・蕎麦・麦・牧草・牛・羊・山羊の順で山羊の飼えないところは何も収穫できない。

 植民地政策の一方策として東南アジアに於いて米食の習慣をパン食の習慣に改めさせ、食料以外の換金作物を作らせて、食料はヨーロッパの麦を買わせるようにした。被植民地の食料を牛耳って、経済を思うが侭に支配したのである。

 先ほどの通貨危機の時も、以前植民地であったところは、外貨不足で食料の麦の輸入に支障を来たし国民は空腹に喘いだ。然し植民地にならなかったタイ国では、財政は厳しいが、食料は自国産で賄えるので、国民が空腹になることは無かった。

 さあスペインからポルトガルへ行こう。ポルトガルへは高速道路が整備され、バスはなだらかな丘陵地帯を突き進む。車窓の景は、徐々に様子が変わって行く。傾斜地はオリーブ畑、なだらかな処は麦畑、ライ麦畑、それから油脂用の向日葵畑が続く。麦も向日葵も痩せ地で草丈が小学生の膝小僧ぐらい。

 道は切り通しが多く、切り土の侭・砂篭・石灰岩の重ね積み・見知・コンクリート擁壁などがある。ただこれ等の工事がバラバラに行われているようだ。法面が高くても切りっ放しや1メートルでもコンクリート擁壁などチグハグである。

 国境が近づくと、オリーブ畑に代わってコルクの樹が多くなる。コルクの樹は樹齢数十年で高さ4メートル程はある。木の下には牛が放牧されている。

 国境を停車することなく通過した。国境通過と云う事でパスポートを用意していたが勉強不足で有った。

 國が変わると僅かずつ様子が変わる。道路の両側に薮が多くなる。スペインには全く無かった光景である。遠く近くにユーカリ林や松林(樹齢30年程で100年を越える樹木はない)がある。林の中は草ぼうぼう。水たまりがある。

 コルクの樹(ブナ科)の畑が続く。(コルクの生産量は世界の50パーセントを占める。樹皮を9年毎にはぎ取るそうだ)コルクの木の下には肉牛が放牧されている。

 野菜畑がある。タマネギ畑がある。(車窓からは麦畑と向日葵畑は見られない)どうして同じ地続きなのに水たまりがあり野菜畑があるのか?違うのはほんの少しの林があるだけ。ただ自然林はは見かけない。何れも植樹された樹木である。

 面積は1ヘクタール以下である。(日本国土の70パーセントが森林である事とは比較にならないが)途中家の煙突の上や、鉄塔の上にコウノトリの巣がある。カラスの巣と同じで、木の枝やゴミで作られていて粗雑。渡り鳥だそうでガチョウ程の大きさ。巣の上に立っているのが時折見られる。

 ガイド君が国民性を話す。学力は低い。文盲率11パーセント。一人っ子。黒い髪黒い眼。米を食べる魚を食べる。他人と変わったことはしない。優柔不断。自分の都合を優先して約束は当てにならない。商売熱心でない。80数パーセントが血液型A型。日本人は5百人余が在住。97パーセントがキリスト教信者。

 ジエロニモス修道院を見物。何しろ廣い何しろ荘厳何しろ大勢。此処も例に漏れず排ガスの影響を受けて白い大理石の彫刻が黒ずんで涎を垂らしたように成って居る。足場を組んで修復作業をして居るが遅々として進まないようす。

 小学生の遠足シーズンなのか?小学生の数が多い。

 ホテルでの事。ロビーはRC階2階は1階。エレベーターは、中で閉めるのボタンを押さないと閉まらない。これならスペインの勝手に閉まりながら不十分な自動のエレベーターより少しは安全。部屋の鍵は金属製の鍵。セーフテイボックスも金属製の鍵。鍵の調子は好。

 洗面化粧台の蛇口が脇側に付いているので、頭をぶつけなくて使いやすい。果物はさほど美味ではないが不味くはない。朝日新聞日本語版有り。

 人は穏やか。スペインと比べて安堵感が出たと同行一同が云う。其れはスペインの無味乾燥の雰囲気が日本人に馴染まないのだろう。

 国境の街バダホス・17世紀の城壁・バルマス橋・城門・4月25日橋・クライストレイ・ジエロニモス修道院

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高台に城塞の跡

 

 

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   寺院の柱 石の継ぎ目に鉛を夾んである

 


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上に自動車下に鉄道の吊り橋

 


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道路端の藪