第5日目
スペインの新幹線で古都コルドバへ向かう。ホテルより例の二重駐車の垣間を通り抜け新幹線の駅に着く。駅は大きいがパラリパラリしか人が居ない。待合い室が二階に有ってエスカレーターで上がる。このエスカレーター、段々に成って居なくて歩く歩道の斜め版。勾配20パーセント。ガイド君の説明ではスーツケースを運ぶ為に斜めにしてあると云うが、滑り落ちそうで却って都合が悪い。構内運搬車は実に巧い具合に登り降りしていた!
待合い室で待つ間セルフサービスの缶ジュースに手が行った。今度はちゃんと口が開くだろうなあ!ベルギー空港で失敗したから、今度は注意しながら丁寧に引っ張った。今度もダメだ!二度も続けて不良品に当たるなんて俺はついていないなあ!
時刻が来てホームに下りる。掃除のおじさんは箒でホームのごみを線路敷きに掃き出している。だから線路の付近はゴミだらけ!風が来てホームに落ちたんでしょう!!私知りません!!
ホームの高さは低い。大人なら上がり降り出来る程の高さ。新幹線の格好はしているが、日本の新幹線と比べて実に小さい。ミニ版か?線路巾は狭軌である。線路の断面積も小さい。車両の巾はJRの電車ほどで、長さもほぼ同じである。席は2席+通路+2席の構成である。通路はさほど廣くない。
一等車に乗ったのだが、車両内部の作りは中國の軟架車とドッコイドッコイである。(中國の車両は広軌だから日本の新幹線と同様の広さである)
もう一つ、台車と車体の構成が全く異なる。日本の鉄道は四輪構成の台車を二つ、車体の長さ以下の寸法に配置して、その上に車体を載せる構成である。即ち車体は8っの車輪の上に乗る事となる。だが、この新幹線は四輪構成の台車を車体の両端に半分ずつ迫り出して配置し、一つの台車に前后の車両を載せる構成である。
即ち車体は4っの車輪の上に乗る事となる。当然車輪の接地圧は2倍となる。だから車両を小さくせざるを得ない。軸離の関係で、車体を短くせざるを得ない。
もう一つ、日本の新幹線は、電車と同じように、数両に毎に動力車が配置されているが、然し欧州の新幹線は前后の車両が動力車で、間に挟まれる車両には動力車がない。動力車が両端から挟み込む構成である。
嘗て鉄道の書物を読んだことがあるが、この様な構成は、日本の新幹線の構成に比べて、車両の配置転換が難しく一両故障すると全編成を休ませなければ成らなくなる。更に競合脱線の可能性が高く成ると言う。
車両は時刻が来ると、何の放送もなく(放送されても言葉が分からないからダメだけど)走り出し、黙って到着し、黙って走り出す。3っめの駅に到着。一段下がった処に出口のドアがある。自動で開くと思って居たら開かない!誰かがボタンを押した。ドアが開いた!降りられた。
コルドバ着、旧市街ユダヤ人街を見物。細い路地を進む。強固な面格子のはまった家並みが続く。中庭がある。前にも述べたような意味あいで中庭がある。例によってキリスト教とイスラム教の教会がある。ユダヤ人街にあるレストランで烏賊墨ライスの昼食。久しぶりに米ご飯を食べた。
昼食後はバスで一路アンダルシア地方グラナダへ向かう。平地から小高い丘へ。又平地へと緩やかな起伏を繰り返し平原は眼の届く限り続く。数十キロ毎に白壁の住居の群に出会う。
数十戸から数百戸の部落である。全体が白壁で窓の少ない瀟洒な住宅である。車を止め写真撮影。車はあるが人が居ない。奇麗な街並みがあるのに人の姿を見ないのは一種異様な感じを受ける。
尋ねると、日中は暑いので外には出ないとのこと。窓を小さくし壁を白く塗って家の中にじっとして居るそうだ。樹がないので遥か彼方迄見渡せる。小高い丘の上に教会の塔が見える。城塞の跡が見える。
壁を白く塗るのは太陽の熱を反射するためと聞く。塗装剤はペンキも用いられるが、石灰が専ら用いられて居るようだ。石灰は安いものだから一戸当たり千円か二千円も有れば足りるだろう。塗り付けは高い建物は業者に頼むが、平屋なら家人が行うと聞く。
暫く進むと、田舎のレストランに出る。暫し車外の人となる。流暢な日本語が聞こえる。2個で千ペセタ、2千ペセタなら5個にするよ!・・・・久しぶりの商売っ気のある声。日本人諸氏、その気になってついつい財布の紐が緩む。
バスは単調な景観の路をひた走る。丘陵地はオリーブの樹が植えられ、平地は麦畑である。人が立つのがやっとという急傾斜地までオリーブが植えられているから、未耕の地は全く無いと云って良いほどだ。痩せ地で麦の草丈は子供の膝小僧ぐらいだから、麦畑で隠れんぼなんてとんでもない。
オリーブ畑の急傾斜地は人手により、キャタピラー式のトラクターが入れるところは、トラクターが入る。水分の蒸散を防ぐために雑草を取り除く。カルチを掛けるのである。畑地は車が走り回るからカチンカチンである。
雨は降らないと言うが、降っても地中に滲み込む事はないだろう。樹の根をこんなにも踏みつけて、樹のために良い筈がない。
何しろ廣い。何しろ痩せ地である。林が全く無い。況や森など有るはずもない。防風林さえもない。
街に近づくと、ユーカリの樹を植えたところがある。何故か?樹と樹の間をトラクターが走り回ってカルチを掛けて有る。だから矢張りカチンカチン。公園などには松やシンパクやヒマラヤ杉・ユーカリ等が植えられている所を見ると、樹種が生育できない土地ではないようだ。ただし闊葉樹は無い。
ホテルへ到着。前に書いたホテルの危険なエレベーターが、此処ではどうかと思って、閉まる扉に本を挿んだら煎餅のようにペッチャンコ。桑原桑原。そうそうエレベーターの階呼び名は、ロビーの有る所が0階、あとは1234・・・と云う具合で、日本での6階は此方では5階である。
セネカの象・ユダヤ人街・シナゴーグ・花の小道・コルドバ大学・モスク・バエナ白い家
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傾斜地まで耕されたオリーブ畑
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子供の膝小僧程のひまわり畑 食用油採取用
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欧州新幹線
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車両の連結部分
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白い家並みの地方都市
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人気のない白壁の住宅街さほどの暑い日では無かった
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禿げ山